士業のホームページでは、資格名や経歴だけでなく、「自分の悩みを相談できるか」「連絡後に何が起きるか」を伝える必要があります。
相談できる業務、費用の考え方、初回に必要な情報が分かれば、訪問者は問い合わせを判断しやすくなります。

ただし、弁護士・税理士などの資格を一括りにして、同じ広告表現や業務範囲を当てはめることはできません。
この記事は、事務所のWeb制作に必要な情報整理を中心に、弁護士会・日本税理士会連合会・個人情報保護委員会の公開資料から確認すべき点を整理しています。
個別事件の助言や、広告表現の適法性の判定を行うものではありません。

対応業務や相談の流れが、現在のサイトで伝わっているか見直したい方へ。
事務所が実際に提供している内容から、必要なページを整理します。

資格名と相談者の悩みをつなげる

まず誰のどの相談を受けるページか決める

「幅広く対応します」だけでは、訪問者が自分の状況を当てはめられません。
法人向けか個人向けか、継続的な顧問か単発の相談かなど、依頼を検討する入口を整理しましょう。

たとえば法人の税務相談と、個人の申告に関する相談では、準備する資料や相談を希望する時期が異なります。
これはページを分ける際の考え方であり、各事務所が両方を受け付けるという意味ではありません。
実際の受任範囲に合わせて案内してください。

サービスページの情報票事務所側で決める内容訪問者が判断できること
対象者法人・個人、対象となる状況自分が相談対象か
相談テーマ実際に取り扱う業務何について話せるか
対応範囲調査・助言・手続き等の提供範囲依頼後に何を任せられるか
対応しない内容対象外の業務や条件別の窓口を探す必要があるか
初回の進め方受付、日程調整、面談、説明連絡後の流れ
費用の説明相談料、契約後の費用、追加条件どの段階で費用が決まるか
確認責任者資格者、更新日、確認資料情報の責任と鮮度

連携先の業務を自事務所の対応範囲に見せない

他の資格者へ紹介・連携する場合は、自事務所が受任する範囲と、別の事務所へ引き継ぐ範囲を分けます。
「ワンストップ」という言葉だけで、どの資格者が何を担当するのかが分からなくならないようにしてください。

日本税理士会連合会の公開資料では、税理士の業務として税務代理、税務書類の作成、税務相談を説明しています。
サイトのサービス名を考える際にも、資格者が確認した業務範囲と実際の契約内容を一致させることが出発点になります。出典:日本税理士会連合会「税理士法」2.税理士の業務

初回相談前の不安を減らす情報をそろえる

費用は金額の大小より、条件が分かるかを確認する

「初回無料」と掲載するなら、無料になる対象、時間、相談方法などを実際の運用と合わせます。
最初の面談が無料でも、その後の調査や書類作成まで無料と受け取られる説明は避けましょう。

金額を一律に示せない業務では、何を確認して見積もるか、いつ費用を説明するか、依頼前に確認できるかを示します。
以下は料金を掲載するための整理表で、士業の相場や各事務所の料金を示すものではありません。

費用項目掲載する条件曖昧さを残さないための確認
初回相談有料・無料、時間、対象予約枠や対象業務で違いがないか
継続契約基本料金に含む対応面談・資料確認・手続きの範囲
単発業務見積もりに必要な情報件数・難易度などの算定条件
追加対応追加費用が生じる条件着手前に説明する手順
実費等報酬と別の費用の有無税込・税別や支払い時期

予約と正式な依頼を区別する

相談フォームを送った時点で、業務の依頼が成立するような説明になっていないか確認します。
受付、対応可否の確認、日程調整、面談、費用説明、契約という各段階を、実際の運用に合わせて示しましょう。

段階利用者に伝える情報事務所の準備
相談予約受付方法、返信先、連絡の目安通知先と不在時の担当
対応可否の確認追加で尋ねる事項の案内資格者へ確認するルート
初回面談場所・方法、持参資料、費用資料の受け渡し方法
依頼の検討対応内容、費用、次の手続き説明内容を記録する方法

緊急の連絡に対応できないフォームなら、その点を目に入る位置で伝えます。
「24時間受付」と「24時間対応」は意味が異なり、実際の返信体制を超えた約束をしないことが大切です。

信頼を支える情報を事実に沿って掲載する

資格・経歴・体制は確認できる情報にする

担当者の氏名、資格、所属、事務所の所在地、対応体制などを、事実に基づいて整理します。
資格の取得や登録に関する情報と、得意分野として紹介する内容を分けてください。
「専門」「豊富」「多数」といった評価語を増やすより、取扱分野や相談の進め方を具体的に説明する方が読み手の判断材料になります。

経歴は現在の登録・所属と整合させ、共同事務所や複数法人で運営する場合は、依頼先がどこになるかを明確にします。
事務所の紹介ページと、予約フォーム・メール署名の名称も照合しましょう。

実績・相談事例・監修を区別する

実際の案件を紹介する場合は、掲載できる内容と守秘の範囲を確認します。
顧客名を伏せても、金額・時期・業種・家族構成などの組み合わせから特定につながることがあります。

説明のために架空の状況を使う場合は、実績と区別できるようにします。
資格者に確認してもらっていない記事に「専門家監修」を付けたり、実在しない相談者の感想を載せたりしません。

情報の種類公開前の確認避けたい混同
担当者の経歴本人確認、所属の更新過去の所属を現在の体制に見せる
取扱実績記録、掲載条件、守秘件数だけで結果を保証する
相談事例公開範囲と特定可能性架空例を顧客事例に見せる
お客様の声利用許諾、資格別の取扱い良い結果が一般に得られる印象を与える
監修表示確認した本人・範囲・時点名前だけを掲載して監修とする

相談者に必要な情報は、資格や業務によって異なります。
サービスページと料金・予約案内がつながるよう、構成を見直します。

資格別の資料で広告表現を確認する

他の士業や競合サイトの表現を、そのまま使わない

弁護士会の公開案内では、事実に合わない広告、誤解を招く広告、過大な期待を生む広告などが禁止されていることを説明しています。
競合が使っている表現だから問題ないと判断せず、自事務所の実態と該当する規程を照合してください。出典:大阪弁護士会「相談・依頼をするみなさまへ」

税理士についても、日本税理士会連合会の資料は、税理士法や会則・規則の遵守事項として守秘義務や業務広告の注意点を挙げています。
弁護士向けの表現例を税理士へ転用するのではなく、それぞれの資格と所属先に対応する資料を確認します。出典:日本税理士会連合会「税理士法」3.遵守事項・留意点

この2資格の資料だけで、司法書士、行政書士、社会保険労務士などの広告ルールを判断することはできません。
制作する事務所の資格に応じて、該当する団体の現行資料と確認先を決めてください。

表現の確認表を制作会社と共有する

次の表は、原稿確認の担当を決めるための編集用チェックリストです。
表に沿って直せば広告規程に適合する、という判定表ではありません。

表現・表示の種類事実として確かめること主な確認担当
無料・定額対象、条件、含まれない費用料金を決める資格者
最短・即日実際の受付体制と条件業務担当者と資格者
専門・得意分野根拠と所属先の規程資格者
実績件数・成功率集計範囲、期間、表現自体の取扱い資格者
比較・順位・推奨表示調査の根拠と広告上の取扱い資格者
お客様の声・事例許諾、守秘、誤認の可能性資格者と掲載管理者
連携・対応範囲契約主体、資格、実際の役割各業務の責任者

確認は、原稿の段階と、写真・見出し・ボタンが並んだ画面の段階で行います。
本文に条件が書かれていても、目立つ見出しだけが過度な期待を与える場合があるためです。

フォームで受け取る情報を絞る

初回は対応可否と連絡に必要な情報から聞く

初回のフォームでは、氏名、連絡先、相談テーマ、希望する相談方法、短い概要などから設計します。
詳細な事件資料、本人確認書類、税務資料を一度に送らせることを標準にせず、必要になった段階で受け渡し方法を案内します。

自由記入欄の近くには、初回に書かなくてよい情報も示すと入力の判断を助けられます。
実際に必要な内容は資格・業務・事務所の受付方法によって異なるため、受付担当者とすり合わせてください。

個人情報保護委員会は、ホームページの入力画面で本人から個人情報を直接取得する場合、原則として利用目的を明示する必要があると説明しています。
目的が取得状況から明らかな場合の例外も示されています。出典:個人情報保護委員会 FAQ Q4-17

相談内容をアクセス解析へ送らない設計にする

フォームの成果を測るときは、送信が成功したことや相談種別など、必要な情報に絞ります。
自由記入の相談内容、氏名、メールアドレスをアクセス解析のイベントへ渡す設計にはしません。

営業提案を含むすべての送信を相談成果として数えると、実際の相談状況が見えにくくなります。
営業目的を分ける入力項目と計測条件を設け、資格者が対応する相談へ進んだかを別の業務記録で確認しましょう。

更新できるサイトと確認体制をつくる

Gutenbergで更新する範囲を決める

料金表は標準の表、相談の流れは見出しと段落、担当者情報は画像と文章のブロックに分けると、変更する場所を把握しやすくなります。
ただし、編集できることと、誰でも内容を確定できることは別です。
制作担当が下書きし、資格者が内容を確認してから反映する役割を決めておきます。

更新のきっかけ見直すページ完了の確認
料金・受付条件の変更料金、サービス、予約同じ説明が複数ページで一致する
担当者・所属の変更事務所紹介、担当者、連絡先旧情報が画像やPDFに残っていない
制度・規程の変更解説記事、広告文、FAQ資格者が対象箇所を確認した
相談内容の変化サービス、入力項目対応できない相談の原因を見直した
受付方法の変更フォーム、自動返信、案内送信と通知、返信まで確認した

更新日だけを変えず、確認した内容を残す

制度に関する記事では、出典、対象となる時点、確認した箇所を制作記録へ残します。
記事の更新日だけが新しくても、料金や手続きの説明が古いままでは判断材料として使えません。

問い合わせが少ない場合も、記事数を増やす前に、対象業務、費用、返信の流れが分かるかを見直します。
予約への移動と送信成功を分けて確認すると、どの段階で改善するかを考えやすくなります。

よくある質問

お客様の声は載せてもよいですか

一律に掲載可能とは判断できません。
資格別の広告ルール、守秘、本人の許諾、表示全体が与える印象を確認したうえで扱います。
掲載条件を満たせない場合は、実際の相談手順や担当体制など、別の判断材料を充実させてください。

制作会社に広告表現の確認を任せられますか

制作会社は、条件の見せ方やページ内の矛盾を整理できます。
資格に関わる業務範囲や規程の判断は、事務所の資格者が該当する資料や所属先へ確認する体制にします。
監修・確認を依頼する場合は、担当者と対象範囲も明確にしてください。

事務所紹介だけでも問い合わせにつながりますか

紹介ページに加え、実際の相談テーマ、対応範囲、費用、初回の流れを用意すると判断しやすくなります。
まず優先する業務のサービスページを1つ整え、事務所紹介と予約フォームへつなげる方法があります。

まず1業務の情報票を完成させる

最初に、問い合わせを受けたい業務を1つ選び、対象者、対応範囲、費用、初回の流れ、確認責任者を記入してください。
その内容を事務所紹介・料金・フォームと照合するところから、制作の範囲を決められます。

アセントウェブのホームページ制作の支援内容では、サイトの構成や運用も含めてご相談いただけます。
事務所が確認した情報を、相談者が理解しやすいページへ整理します。