ShopifyとBASEを選ぶとき、最初に決めたいのは「どちらが有名か」ではなく、何を何件売り、誰が発送まで担当するかです。
月額料金が低くても、注文が増えた際の手数料や確認作業で負担が変わります。
逆に、多機能な仕組みを用意しても、使う担当者がいなければ運用に定着しません。

この記事では、公式料金を確認したうえで、同じ販売条件を当てはめる費用表と、登録・発送・返品の確認表を用意しました。
実際のECテスト環境で操作した比較ではありません。
機能の説明は公式資料、金額の例は条件を限定した試算、操作の表は導入前に使う点検票として区別しています。

商品の販売方法と担当者の体制から、ECサービスを選びたい方へ。費用と開店後の作業を同じ条件で整理します。

比べる前に、商品・注文・担当者の条件をそろえる

商品数だけで運用の難しさは決まらない

十種類の商品でも、サイズ・色・名入れ・配送温度帯が違えば、購入時の選択と出荷時の確認が増えます。
一方、百種類あっても、在庫と配送条件が統一されていれば、同じ手順で処理しやすい場合があります。
「商品が多いからShopify、少ないからBASE」と分ける前に、注文の中で何が変わるかを書き出します。

比較用の条件は、一度決めたら両方に同じ内容を当てはめます。
一方だけ有料アプリを含め、もう一方は標準機能だけの見積もりにすると、料金差の理由が分からなくなります。

販売条件自社で記入する内容比較への影響
商品とバリエーション商品数、色・サイズ、受注制作の有無登録方法、選択肢、在庫管理
注文規模平均の注文金額、月の件数、繁忙日の件数決済費用と出荷作業の量
配送常温・冷蔵、送料、日時指定、同梱条件設定できるルールと確認作業
決済必須の支払方法、想定される利用割合料率と入金・返金の手順
担当者登録、発送、返金を担当する人数アカウントと操作権限
販売先Webショップ、実店舗、海外等在庫連携と追加機能

平均注文金額は、商品の単価と同じとは限りません。
二点同時購入や送料が加わるなら、手数料の算出対象となる注文額に合わせます。
まだ販売前なら、少ない注文・想定どおり・繁忙期という三つの条件で試算し、売上予測そのものと混同しないようにします。

「複数人で使えるか」はプランと端末まで確認する

担当者が二人以上いるなら、共通パスワードで操作する前提を置かず、各自のアカウントで必要な仕事ができるか確認します。
ShopifyはBasicで追加スタッフアカウントを利用できず、Growでは最大5件という違いがあります。
外部制作会社向けのコラボレーターと、自社の日常運用スタッフは区別して検討してください。Shopifyの料金・機能比較

BASEには「スタッフ権限管理 App」があり、招待した人に操作できるメニューを設定できます。
ただし、スタッフによるAppのインストールや、ショップ向けBASEアプリへのスタッフ権限でのログインはできないと案内されています。BASEのスタッフ権限管理

この差から、「複数人なら必ずShopify」とは決められません。
発送担当は注文処理だけ、返金は責任者だけ、経理はデータの確認だけ、といった役割で、必要な操作と使う端末を照合します。

月額・注文手数料・追加費用を分けて計算する

料金表は、年払いの月換算と毎月払いを区別する

以下は2026年10月23日に確認した公式表示に基づく比較です。
Shopifyはオンラインストアを運用するBasic、BASEはスタンダードとグロースを取り上げています。
期間限定の開始キャンペーンは、継続時の予算から分けています。

比較項目Shopify BasicBASE スタンダードBASE グロース
年払い時の月換算3,650円月額0円16,580円(税込)
年間の基本料金43,800円相当・適用税別0円198,960円(税込)
毎月払いで比較する場合申込時の月払い表示を別途記入月額0円19,980円(税込)/月
通常のWebカード注文の例標準カード3.55%+0円決済3.6%+40円+サービス料3%決済2.9%、サービス料0円

出典:Shopify料金、BASE料金、BASEグロースプランの条件。
Shopifyの料金は利用規約上、適用税を含まないため、表の金額に一律の税込表示を付けていません。Shopify利用規約・料金と税
請求先や購入サービスに応じた税額を確認し、最終予算では同じ税の扱いにそろえてください。

手数料は、支払方法と購入経路によって変わります。
Shopify BasicのAmex・海外カードは3.9%という別の料率です。
BASEではPayPay・Amazon Pay・PayPalに1%が加算されます。
また、PAY IDアプリ経由の注文は、上のWeb注文の列ではなく、両プランとも決済3.6%+40円とサービス料5.9%の条件で確認します。
Web注文の料率を重ねて加算しないようにしてください。

同じ売上でも、注文の件数が変われば費用が変わる

注文ごとの定額手数料がある場合、売上額だけで比較すると差を見落とします。
次の例では、送料を含む手数料対象額を一件5,000円、月100件、合計50万円と仮定します。
Shopifyは標準カード、BASEは追加1%がない通常のWeb注文、返金なしという限定条件です。

試算項目Shopify Basic・年払い月換算BASE スタンダードBASE グロース・年払い月換算
固定料金の表示額3,650円0円16,580円
50万円分の変動費の計算500,000×3.55%=17,750円500,000×6.6%+100×40=37,000円500,000×2.9%=14,500円
上記二項目だけの小計21,400円37,000円31,080円

これは最終請求額や運営総額ではありません。
Shopifyに別途適用される税、追加アプリ、振込関連費用、制作、広告、配送実費、人件費などを含まず、プランの契約期間も前提にしています。
この小計だけで、採用するサービスを決めないでください。

BASEスタンダードの同じ条件で、一件2,500円・200件なら、50万円分の変動費は41,000円です。
売上は同額でも、一件40円の部分が増えるため、先ほどの100件より4,000円多くなります。
「月商がいくらを超えたら切り替える」という一つの基準より、自社の注文単価と件数で確認する方が具体的です。

自社の入力表に、見積もりの範囲も残す

費用は「固定費+注文ごとの費用+必要な追加費用」で分けると、差が生じた理由を説明しやすくなります。
決済方法が複数なら、各方法の対象額に料率を掛け、最後に合算します。
全注文へ最も低い料率を当てはめないことが大切です。

入力欄記入・計算の方法確認する資料
対象の注文額と件数支払方法・購入経路ごとに分ける想定条件または過去の注文記録
基本料金契約期間、支払時期、税区分を記入公式料金と申込画面
注文の費用対象額×料率+件数×定額料決済とサービス料の条件
アプリ等月額、従量、為替、税を別欄にする採用予定アプリの料金
初期作業商品登録、撮影、デザイン、移行を分ける自社工数または外注見積もり
運用作業月の作業時間×社内で決めた時間単価担当者の作業記録
その他振込関連費用、配送、広告等を記入各契約・利用条件

Shopifyで外部決済を使う場合は、決済事業者の手数料に加えて、Shopify側の外部サービス取引手数料が適用される条件も確認します。
アプリの請求周期が本体の契約と同じとは限らない点にも注意してください。Shopifyの料金と請求の概要

一年分の総額は、月換算だけでなく、実際に支払う時期も並べます。
年払いは月換算が低くても、最初にまとまった資金が必要です。
まだ販売方法を試している段階なら、契約期間と変更条件も判断材料になります。

毎日の運用を、同じ注文の流れで確認する

登録・発送・返品を一続きに見る

管理画面が見やすいかだけでは、運用の相性は判断しきれません。
代表的な商品を一つ決め、「登録した商品が注文され、発送され、問い合わせや返品が発生するまで」の仕事を並べます。
以下は両サービスで使う確認表であり、当社が両方の環境で実施した結果ではありません。

確認する場面同じ条件で行う作業合格の目安・記録するもの
商品登録色・サイズ・在庫が異なる商品を登録選択肢と在庫が意図どおり対応する
購入前送料、納期、返品条件を確認注文確定前に必要情報を読める
注文受付購入者と担当者への通知を確認注文番号・商品・届け先を照合できる
発送梱包対象を確認し、発送を記録二重出荷せず、追跡情報を案内できる
キャンセル未発送の注文を取り消す決済、在庫、通知の処理が整理される
一部返品複数点のうち一点だけを返品する想定返金額、送料、在庫戻しの担当が決まる
確認終了注文記録と会計用の数字を照合未処理の注文や差額の理由が分かる

実施するときは、各サービスが用意するテスト方法と決済条件を確認してください。
実決済が必要な確認は、責任者の了承と金額・返金方法の決定後に行います。
机上で確認できた項目と、実際に操作して確かめた項目を、同じ「確認済み」にまとめないようにします。

使いやすさを比較するなら、担当者、端末、商品条件、慣れるための時間もそろえます。
一度目に迷った箇所を記録し、説明を読んだ後も残る負担と、単に初めて使うための迷いを分けると選びやすくなります。

在庫と通知は、例外が起きたときに確認する

注文が一件ずつ入る状態では問題が見えなくても、最後の一点を複数の販売先で扱うときや、担当者が不在のときには処理が変わります。
在庫を更新する場所、反映までの時間、失敗時の通知先まで決めておきます。

たとえば「実店舗で最後の一点が売れた」「発送後に届け先変更の連絡が来た」「通知メールを担当者が見落とした」という場面を、運用表に追加します。
すべてを自動化する必要はありません。
手作業で対応するなら、誰が何を見て判断するかを残してください。

BASEの注文データは専用AppでCSV出力できますが、公式案内ではスマートフォン環境に対応していません。
日々の確認をスマホだけで済ませたい場合でも、データの取り出しに使うPCが必要か確認します。BASEの注文データ出力

出荷・在庫・返品のどこまでを仕組みに任せるか迷う方へ。今の担当者で続けられるEC運用と、必要な機能を一緒に整理します。

将来の機能追加と、移行時に持ち出すものを確認する

「拡張できる」を、実際の業務に置き換える

アプリやAPIがあることと、希望する業務がそのまま実現することは別です。
「在庫連携が必要」なら、どのシステムから何の商品コードを受け取り、どのタイミングで更新するかまで具体化します。
定期販売や海外販売も、販売方法だけでなく、解約・配送・問い合わせへの対応を含めて確認します。

BASEにも、商品情報の取得・更新や注文情報の取得などを扱う公式APIがあります。
そのため、BASEは外部連携できないと一括りにはできません。
利用登録・許可や対象となる操作を確認し、実装・保守を担当する人まで含めて判断します。BASE API公式資料

Shopifyも、採用するプランやアプリによって扱える情報と条件が異なります。
独自アプリを作る場合は、必要な顧客情報へのアクセス、プランの条件、更新を継続する担当者を確認します。Shopifyのアプリに関する案内

将来やりたいこと先に決める仕様比較時に残す答え
実店舗と在庫を合わせる共通の商品コード、更新元、反映時点連携手段、例外時の修正方法、月額
倉庫へ出荷を依頼する注文・配送指示・発送結果の項目取り込み形式、送受信の担当、再処理
定期販売を始める周期、休止、解約、決済失敗の扱い対応範囲と追加料金、問い合わせ窓口
海外へ販売する国、言語、通貨、配送、返品先標準機能と追加対応の境界
別サービスへ移る商品、画像、注文、顧客、URLの扱い出力形式、移せない情報、作業見積もり

CSVが出せても、そのまま移せるとは限らない

CSVの出力機能は、移行の入口です。
移行先が求める列名・商品分類・バリエーションの形式に合うか、画像を引き継げるかなどを別途照合します。
注文履歴、顧客アカウント、アプリ内の情報は、それぞれ扱いを確認してください。

URLも移行対象の一覧に含めます。
古い商品URLから新しいページへ案内できるかは、旧サービス・独自ドメイン・移行先の条件で変わります。
「301転送を設定すればすべて解決する」と決めつけず、実際に設定できる場所を確認します。

移行を考える段階では、まず数件の商品で、出力・整形・取り込み・表示の照合を行います。
商品数だけでなく、一件ごとに手直しが必要な情報を数えると、作業量を見積もりやすくなります。
本番を切り替える前に、未発送注文と返金対応をどちらの管理画面に残すかも決めておきます。

自社の優先順位から、採用する条件を決める

小さく試すなら、固定費と準備作業を抑える

売れる商品や運営手順を試したい段階では、月額0円のBASEスタンダードを起点に検討できます。
ただし、無料なのは基本料金の部分です。
写真、商品説明、発送準備、集客などの仕事まで不要になるわけではありません。

少ない注文の間に作業の流れを整え、件数が増えたら費用表を更新します。
その時点でBASEのプラン変更と、Shopifyを含む別の選択肢を同じ条件で比べると、移行そのものを目的にせず判断できます。

独自の運用があるなら、必要条件を満たす組み合わせで比べる

倉庫連携、複数の販売先、独自の商品選択などが必要なら、プラットフォーム単体ではなく、プラン・アプリ・担当者を一つの構成として比較します。
Shopifyを候補にする場合も、「多機能だから大丈夫」ではなく、具体的な注文で必要な作業が成立するかを確かめてください。

最終判断では、費用・操作・移行を一つの点数にまとめる前に、満たせないと困る条件を決めます。
次のように、採用理由と残る課題を一行ずつ残すと、担当者が変わっても判断を引き継げます。

判断欄記入例
必須条件冷蔵便と通常便を分け、発送担当が確認できる
採用する組み合わせサービス名・プラン・追加機能を記入
採用理由費用だけでなく、必須業務が成立する根拠を記入
残る手作業返品時の確認と在庫修正は責任者が行う
再検討のきっかけ注文件数・追加の販売先・担当者数が変わったとき

アセントウェブのECサイト制作サービスでは、制作する画面と、開店後に必要な運用を合わせて相談いただけます。
比較表の未記入欄を持って相談すると、何を追加で調べるべきか整理しやすくなります。

ShopifyとBASEの比較でよくある質問

どちらの方が売れますか?

サービス名だけでは決まりません。
商品への需要、価格、写真や説明、集客、送料、購入後の対応などが結果に関わります。
まず「買いにくい原因を解消できるか」「担当者が改善を続けられるか」を確認し、公開後の閲覧・購入・問い合わせの状況で見直します。

後から別のサービスへ移行できますか?

移行方法を検討できますが、全データが同じ状態で引き継がれるとは限りません。
商品と画像、注文履歴、顧客情報、アプリ内データ、URLを分けて確認してください。
作業費と販売を止める時間も含め、今のサービスを継続・改善する案と比較します。

月商だけで切り替え時期を決めてもよいですか?

月商は判断材料の一つです。
注文単価・件数・決済方法・アプリ費用・担当者の負担が変わると、同じ月商でも結果が違います。
売上が増えたときだけでなく、返金対応や出荷の仕事が増えたときにも費用表と確認表を更新してください。

まず、代表商品一つの注文を最後まで説明する

比較を始める際は、代表商品を一つ選び、注文から発送、問い合わせ、返品までの流れを書いてみてください。
その条件に、料金・権限・追加機能・移行時の情報を重ねると、比較すべき点が具体的になります。

安いプランを探すだけでなく、その構成で日々の仕事が続くかを確認することが、選んだ後のやり直しを減らす第一歩です。

料金表を見ても決めきれない場合は、商品、月の注文件数、発送担当者、今後の販売方法をお知らせください。自社に合う比較条件から整理します。